The Truth Is Out There!!
こんにちは、おのまとぺ(゜∀。)です!!

シーズン6 第16話『アンナチュラル』


  • 監督:デイヴィッド・ドゥカヴニー
  • 脚本:デイヴィッド・ドゥカヴニー
  • 原題:『Unnatural』


おのまとぺ的評価

  • おススメ度 ★★★★★ 自分的にはナンバー1といってもいいエピソードです!!!!
  • グロ度 ★☆☆☆☆ 出血シーンはありますが、感動的なものになっています。
  • 謎度 ★★★★☆ ラストシーンの解釈と思い出話という特徴からくる
  • ホラー度 ★☆☆☆☆ バウンティハンターも今回は怖さ控え目
  • コミカル度 ★★★★★ お前も驚くんかいっていう笑


登場人物(カッコ内は役者名)

  • ジョッシュ・エックスリー(ジェシー・L・マーティン):説明
  • アーサー・デールズ(弟)(フレドリック・レーン(若者)、M・エメット・ウォルシュ(老人)):同名の兄の弟。 かつて警官として働き、人種差別主義者の襲撃を受ける可能性があったエックスリーの護衛を買って出た。 彼と行動を共にするなかで信じられない光景を目にする。)


あらすじ

1947年、人種差別が苛烈だった時代。 野球の試合で大活躍していた黒人選手ジョッシュ・エックスリーの殺害に、彼の活躍を快く思わない白人至上主義団体から懸賞金がかけられていた。 白人警官のアーサーは黒人でも安全を守りたいという信念のもと彼の護衛についた。 護衛のため黒人のみで編成された野球チームとともにバスで旅をし、アーサーは彼らとの絆を深めていった。 ある晩、彼は隣部屋だったエックスリーの部屋から怪しい物音がした。 こっそり鍵穴から様子を覗いてみると、暗闇の中で怪しい人影がうごめいていた。 慌てて突入したアーサーだったが、そこでエックスリーのとんでもない秘密を目にしてしまう。


感想

ハッキリ申し上げます。 最高のエピソードです。

実をいうと監督と脚本が主演のデイヴィッド・ドゥカヴニーということで一抹の不安がありました。 今まで主演を頑張ってくれたからご褒美に一回脚本と監督をやらせてあげよう、みたいな感じなんじゃないかと。 しかし、フタを開けてびっくり、感動的な素晴らしいエピソードでした!! 

このエピソードは批評家からも評価が高く、The Hollywood Reporterは"The X-Files' Turns 25: Ranking the Franchise's 25 Most Important Episodes"という2018年の記事で本エピソードを6位にランクインさせています。

作品内容としては、アーサーのセリフからもわかる様に『情熱は人を変える』、そして『もしかしたらエイリアンも変わるかも?』というお話です。 人種・種族の境界を越え野球への情熱を貫く者とそれを守ろうとする警官の熱いストーリーです。 アーサーは警官として黒人でも白人でも安全を守るという理想のため野球チームとともに各地を巡り、彼らとのふれあいを通して友情をはぐくんでいきます。 エックスリーは野球が大好きで、素晴らしい実力を兼ね備えています。 彼はある秘密からメジャーに興味はなく、草野球でもいいからとにかく野球がしたいという情熱を持っています。

アーサーの昔ばなしというスタイルで語られます。(だから映像がどこまで真実かはわからないといういつものパターンです笑) 詳しい話はネタバレになるので下の方で書きますね。 

スカリーは作品の最初の方と最後だけの登場ですが、モルダーとのやり取りが面白いです。 FBIのオフィスでアイスクリームを取り合うモルダーとスカリー、新聞記事で事件を調べていたのかと思いきや野球の記事を読んでいたモルダー、それを『ずるい』と騒ぐスカリー笑

ScullyMulderBaseball


そして、ラストシーンはとてもロマンチック。 スカリーとモルダーの風変わりなデートにキュンと来ます。 打球が星に変わるのもゆめゆめしくて素敵ですね!!

なお、余談にはなりますがこのレビューを書いている2020年、コロナ禍がいまだ収まらないアメリカではミネアポリスにおける黒人死亡事件に端を発するデモ・暴動が留まることを知らず広がっています。 この出来事は現在進行中なので、今の自分にはこの出来事が今後どの様な結果をもたらすのかはまだわかりません。 しかし、善きにつけ悪しきにつけきっと大きな変化が訪れ、差別というものの存在自体が変容していく元年となることは想像に難くありません。 この年にこのエピソードを観たことに何かしらの縁を感じます。 TVドラマなのでかなり控えめではありますが、クー・クラックス・クランなんていう集団がいて黒人をリンチしたり処刑していたこと、黒人は野球選手になれなかったことなどが描かれています。 もちろん現実の差別はこんなレベルのものではなかったわけですが、もしアメリカにおける黒人差別がどんなものか全く知らないという方は、入り口としてこのエピソードを観てみるのもいいかもしれません。



※以下ネタバレあり



このエピソードには、人種差別、野球、エイリアン・・・、アメリカ南部の近現代史を語る上で外せない要素が詰まっています。 黒人であるという理由、また同時に人間と関わってしまったエイリアンであるという理由で迫害されるエックスリーの存在は、『差別』という理不尽な存在を被差別者という立場から体現するキャラクターになっています。 

エックスリーは結局エイリアンだったわけですが、我々の目から見るとクー・クラックス・クランの頭巾をかぶっていたエイリアンと見た目の差はわかりません。 もしかしたらエイリアンから見ると、我々も同じ様に黒人だろうが白人だろうがアジア人だろうが同じ様に見えるかもしれませんね。 

Grey_alien_with_baseball_paraphernalia


本来であれば重たくなってしまいそうな内容ですが、コメディタッチなシーンを入れることで軽快に描いています。 途中変身を解いてエイリアンの姿に戻っているエックスリーを見て悲鳴を上げるアーサーと、その悲鳴に驚いてエイリアンの姿のまま悲鳴を上げるエックスリー、このシーンが一番笑いました。 その後も失神したアーサーをエックスリーが起こそうとするんですが、エイリアンの姿のままなのでアーサーが何度も失神するですが、ここが抱腹絶倒です笑 その翌日、バスの中で野球の魅力に取りつかれたきっかけをエックスリーがアーサーに話しますが、このシーンはシリーズ屈指の名シーンだと勝手に思っております。 二人の俳優が語りと表情だけで見せる感情と情熱、いい演技でした。 昨日は失神するほど自分との違いに驚いていたアーサーが翌日には楽しく野球の話をしている・・・そんな世界であってほしいものです。

最後にエックスリーの血が赤になっていたのは、野球への情熱を貫いて人間になったということなのでしょうか? グラウンドで果てたというのは彼にとっては本望だったかもしれません。 製作側がそこまで意図していたかはわかりませんが、差別を超えて意思を貫くには血が流れるというメタファーも入っているのかもしれません。

また、今回はバウンティーハンターもいつもの様に無言で殺す様なタイプではなく、ちょっと同情的な
キャラクターとして登場しました。 1947年にも関わらず同じ見た目なんですが、わざわざ本来の自分の顔を見せてからエックスリーを手にかけています。 宇宙人相手にはちょっと態度が違うのかもしれませんね。

トリビア

このエピソードにはデイヴィッド・ドゥカヴニーのお兄さん、ダニエル・ドゥカヴニーが出演しています。 冒頭の試合のシーンで投手を代えたほうがいいと監督に進言する人の役です。 よく見るとそっくり笑







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